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甲子夜話
四十一
今の桑名侯の〈松平越中守○中略〉傘袋の緒は、尋常の組糸にあらず、袋と同じきれにて緒お作り結ぶ、淀侯〈稲葉侯、十余万石、〉は当主は先箱お持せず、傘にも袋おかけざるが、その世子のときは、先箱お持たせ、傘も袋に入るヽ、当主となれば始の如し、これは当主加判お勤られしとき、並の通りの供立にして、世子計、家格にしたる形の残りしなり、