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宝蔵


傘は雨の用意ながら、其工ことにして、すぼむれば手の中ににぎり、ひらけば其地百倍せり、神祇にかさぼこおかせば、釈教に説教師もかだけり、曾我殿ばらの夜打の場には、よきたいまつとて、五月やみおてらして、御所の前後おしゆごし奉れり、御上洛にもさきだてば、行幸にもしたがへり、木の下露は両にまされるにや、松だけもひらけば、べに茸もさけり、かゝる珍重なるものお、なにとて山崎くだりの僧はわすれけんと、その茶屋もゆかし、
天にはるからかさもがなはるの雨
細工奇特竹兼紙 更曳膏油一徳詼 用舎異他售糖者 雨天不指日和開