[p.0491]
塩尻
十三
賢按、かつぱといふは、今雲丸がつぱの事にて、俗坊主がつぱともいふ、元来紙がつぱの事也、今世の木綿合羽の製は、昔は無きもの也、是も完文延宝の頃、旅行の寒おふせぎの為に出来たるもの故、十里よりゆく旅行には著する事お禁ず、依て三方辺にては、爾今木綿合羽の事おば十里といふ也、今は皆その元お知らざるよりして、雨中には御免なされといふて座敷内まで著する事になりたり、是は有間敷事となん、