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更科日記
二とせばかりありて、又石山にこもりたれば、夜もすがら雨ぞいみじくふる、〈○中略〉三日さぶらひてまかでぬれば、れいのならざかのこなたに小家などに、このたびはいとるいひろければ、えやとるまじうて、野中にかりそめに、いほつくりてすえたれば、人はたゞ野にいて夜おあかす、くさのうへにむかばきなどうちしきて、うへにむしろおしきて、いとはかなくて夜おあかす、