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倭訓栞
前編十六/都
つえ 杖おいふ、衝居(つきすえ)の義成べし、二字の義、杖の用おいひ尽せり、古事記に御杖お投棄給ふてなれる神お、衝立船戸神と名くと見ゆ、神代紀に所杖おつけりしとよめり、丈お訓ずるも杖より出たり、万葉集に杖不足八尺と見えたり、〈○中略〉しばりづえあり、用がたに用う、杖ほどかゝる子はなしといふ諺は、節竹詩に、護仮携持力多憑替助功と見えたり、刑罰の杖お受るに罪人に代り、其科お得て渡世するの風俗、清朝に見へたり、熱田に杖の舞あり、
○按ずるに、刑罰に用いる杖の事は、法律部笞杖刑篇に載せたり、