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比古婆衣

鹿おすがる又かせぎともいふ由
かせ杖(○○○)といふは、木杖の尾に岐あるおいへり、和名抄僧房具に、鹿杖、漢語抄雲鹿杖、加世都恵、〈○中略〉杖の尾の岐あるお鹿角にたとへたる各なり、〈然杖尾に岐あれば、老人などの輔には、ことに便りよくかまへたるなり、〉横首杖は杖の首に鐘木の如く、横木あるおいへば、〈俗にな、へては鐘木杖(○○○)といふ〉鹿杖とは別なるお、同物の如くにも注し載られたるは、鹿杖の首には、なべて横木おものする例なりつるから、横首杖お併せて加世都恵とは訓めるなり、