嬉遊笑覧
二中/器用
古き小歌に、ころくといふ有り、糸竹初心集〈中〉ころくぶし、ころくついたる竹のうえ(○○○○○○○○○○○)、ころくもとはしやくはち、なかはふえ、ころくすえはじよろしゆのふでのぢくころく、〈○中略〉さて彼ころくついたる竹のつえとは、人の名めかしく作りしが、俑お始めたるにて、実は竹おいふなるべし、布袋竹は杖にするものにて、節の間五六分、又は五六寸あるものなれば、五六といふ也、もと琉球より渡り、西国より東国に移りたれば、生れは西の国といふ、これも昔つえつくことはやりし時の小歌にて、江戸のことなれば、武蔵野に住などいへるか、尺八といひ、筆の軸と雲は、かならず其物に作るにはあらざれ共、竹になずらへて雲なり、