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飲食具以下各篇に属せざる器物お以て雑具篇とす、衣架、鎮子、烟管、烟草入、眼鏡、爪杖、䙝器の類即ち是なり、
衣架はみぞかけと訓ず、又音お以ていかと称し、或は又衣桁の字お用いて、いかうとも称す、衣服お懸くる具なり、後世衣紋竹と称するものあり、亦此類なり、
鎮子は、ちんしと音読す、毯代或は台盤上の杷等の如き敷物の四隅に置くものなり、金銅、白石等にて作り、又鉄お布帛に裹みて用いるものあり、
烟管は、きせると雲ふ、喫烟の具なり、烟草入は烟草お納むるものにて、之に烟管筒お具せるものと、具せざるものとあり、烟草盆は、火入、灰吹お一器に納めたるものにして、或は此に烟管、烟草お納めたるもあり、
眼鏡は、視力お助くるものにして、老眼鏡、近眼鏡等あり、又虫眼鏡、望遠鏡等の数種あり、而して天象お見るに用いる眼鏡の事は、方技部天文道篇に載せたり、
䙝器は、便器の総称にして、楲(ひ)、虎子(おほつぼ)、清器(しのはこ)、尿筒等の別あり、後世小児の便器お、まる又おかはとも雲へり、