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空穂物語
蔵開上
かんのおとゞ、むまれ給へる君の御ほぞのお、きり給はむとて、たゞ人はさぶらへ、人のするわざとこそはせめ給へば、このものみぐるしのかたつぶりやとのたまへば、ついいてなにおめすぞ、おとゞしもなるものひとつとの給へば、さしぬきおぬぎて奉り給へば、いなやいまひとくさとのたまへば、しろきあはせのはかま、ひとかさねおぬぎて奉りて、あないのちながやとて、みそかけのもとによりてみ給へば、ごたちわらふ、