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賤のおだ巻
一きせるも品々流行たち、〈○中略〉きせる袋も其比〈○延享完延〉は、皆衣類のたちあまりなんどにて、手前縫たしたり、
一翁〈○森山孝盛〉が在番の比〈○安永年中〉は、〈○中略〉たばこ入ぎせる筒(○○○○)お、えぞにしきなどにて拵へ、銀のくさりお長く紐にして、銀の火はたきお根付にして用ひたり、近き比に至り、革のきせる筒お仕出して、男向御番御役つとむる者などは、一般に革のきせる筒お用ることに成たり、是等は革の方おとなしく、やにも通らず、一段と人情の趣く所よろしかるべし、