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神都名勝誌

稲木〈○中略〉 産物紙煙草入〈此の地に之お粥ぐ家多し〉
本舗お池部某と雲ふ、稲木神社の東隣に住し、壺屋(○○)と号せり、祖先の代より、菅笠桐油合羽等お製造するお業とし、終に桐油お以て、紙烟草入お作ることお発明したり、其の年代詳ならず、古き狂詠に、夕立や伊勢の稲木の烟草入ふるなる光るつよいかみなり、などいへり、当時の製は、頗質素なりき、〈○中略〉凡南勢の地方にて、紙烟草入お粥ぐ家は、必壼屋の記号商標お掲ぐ、然せざる時は、往来の旅客、顧みる者なしと雲ふ、