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倭訓栞
中編二十六/米
めがね 目金の違はぬといふは、度おさしがねともいふおもてなり、眼鏡おめがねといふも義同じ、古歌に、
めがねさす光は穴にくまなきおいかでみ雪に目おきらしけん、方輿勝覧に、満刺加国出靉靆鏡といへば、もと西域よめ始れる物なり、もと硝子お用う、日本には水晶お用い来れり、水晶は日本の産お天下第一とする事、本草にも見えたり、遠めがねは千里鏡なり、人相めがねは天眼鏡なり、数めがねあり、火とり目がねあり、虫めがねは七奇図説に顕微鏡といへり、されば蜘蛛の足二三歳の小児の臂ほどに見え、人髪拇指の如き大さに見え、竹の節のごとく細かに節ありて、少年の髪は節遠く、老年の者は節つまれりとぞ、