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和漢船用集
十/船処名
水押 今呼処みよし、みおしと雲、古は、によしといへり、子丑と書、又舟法の巻に、女首と書、各利あり、或は辰頭とするは竜頭成べし、又薩州にて竜首と呼、合類節用に、港板と書、舟制所言といへり、字彙に、港は水中行舟道と見へたり、しかれば、みおしと読べき者か、艫也、〓也、艗也、扼也、〓也、並にへさきと読、前灯余話に曰、夏月於船首澡浴、又眉公雑字、船梢とあるお、へさきと読せるは非也、ともと訓ずべし、
水押小名 前口 継手 附出〈或築出〉 付留 劃(もき)〈又劃先と雲〉 除〈或はかき入と雲〉 潮切〈又浪切〉 頬骸〈荷舟に呼処、俗にほうべらといふ、〉是海舟の壱本水押也、川舟は、弐枚水押にて、中に有お咽込と雲、上に有板お棹走と雲、是小舟より大船まで荷舟の制也、
川御座船は箱造り也、伊勢船の箱造りより始るか、この故に海舟箱造りにする者、吾妻表と称す、箱造りの小名 置板〈艫先の置板也、沖板と書は非也、〉 戸立〈箱先戸立と雲〉 扇板〈左右に有、其形扇子のごとき故の名也、〉 夾蓋〈戸立の上に打板、或は小蓋砂蓋と書は非也、〉 箱縁〈左右に有、板箱の如し、〉