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和漢船用集

舟用木之事
素戔鳴尊曰、杉及余樟此雨樹者、可以為浮宝、
余樟は楠に類す、和名太布、しかれども往古は其差別なく、今雲楠なるべし、〈○中略〉杉は、〈○中略〉本邦にも南方に生ずるお良材とす、肥後日向紀州の材お最上とす、〈○中略〉凡船の材とすべきもの多く有といへども、海河其品お別つ、河舟は真水ゆへ朽やすし、故に真槙お上品とす、楠、柏、草槙是に次、檜、杉又是に次げり、其外五葉松、松皮の類お下品とす、海舟は潮故朽ことなし、楠、槻、太布、栂、杉、樅お用、其外雑木お以て造れり、