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和漢船用集
五/舟名数江湖川船
丸木船 其形、丸木お剡たるがごとし、故に又丸太舟(○○○)と雲、是北国のはかせ作りに類す、其舟長く細く深くして、底より両側、板丸くはぎ上て枻(たな)なし、上のはぎおおもきと雲、水押も立板に丸くはぎ、舳は横舳にて、大立横上あり、右楫の方にそへ立あり、ろくい高く鉄にて作る、棹櫓お用、帆櫓かね用、旅客舟の内に有て外へ見へず、古津、今津、塩津、海津等に多し、其外所々にあり、大船は五百石積余にいたる、棹師の説に、此舟は伝教大師の沓の形なりといへり、又九州に有、肥前の丸木舟、其長さ三間半余、底ひらたく、両かは丸木のごとく、是もろくい高くして、片手に早緒おにぎり、片手漕にする、是お丸木こぎと雲といへり、其外国々に有、