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守貞漫稿
五/生業
廻船問屋 諸国廻船多しと雖ども、運賃お以て漕するは、大坂より江戸に下るお第一とす、是亦大坂お本とし江戸お末とす、其中にに種あり、酒樽お積むお樽船と雲、其他の諸賈物お積み漕すお菱垣廻船と雲、此船は船周りの垣の子に菱に組む故に名とす、他船は格子也、
此二船お以て、大坂二十四組の商家より出す諸物お、運賃お以て江戸十組の賈店に達す、運賃諸物の各定あり、価物の条に載す、 樽菱垣ともに数十艘あり、大坂船問屋の自船より、或は船主別に在て問屋に托しあるもあり、又時により雇ひ船もする也、大概千石以上の船のみ也、右の大坂より出る諸物の掌るお積物屋と雲、江戸より大坂に達したるお点検して、其宛名に頒配するお荷役問屋と雲、諸国皆然り、江戸には菱垣樽船共に荷役問屋のみにて、積問屋小行故に兼之、