[p.0642]
高倉院厳島行幸記
廿一日、〈○治承四年三月〉さるのときに、高砂のとまりにつかせたまふ、よもの舟ども、碇おろしつゝ浦々につきたり、御舟のあし深くて湊へかゝりしかば、はしふね三ぞうおあみて、御輿かきすへて、上達部ばかりにて、御舟は奉りし、〈○中略〉廿六日、〈○中略〉むまの時に、宮島につかせ給、鴛しほひくほどにて、御所へ御舟いらねば、はし舟にてぞおりさせ給、