[p.0670]
覧富士記
富士御覧〈○足利義教〉の御有増すえとおされ侍て、永享四のとし長月十日の程に、おぼしめし立れ侍り、〈○中略〉すのまた川は、興おほかる処のさまなり、河のおもていとひろくて、海づらなどのこゝちし侍り、〈○中略〉御舟、からめいて、かざりうかべたり、又かたはらに鵜飼舟などもみへ侍り、一とせ北山殿に行幸のとき、御池に鵜ぶねおおろされ、かつら人おめして、気色ばかりつかふまつらせられ侍し事さへに、夢のやうに思ひ出され侍る、