[p.0710]
土左日記
廿七日、〈○承平四年十二月〉かこの崎といふ所に、守のはらから、またこと人これかれ、酒などもて追ひ来て、磯におりいて、わかれがたきことおいふ、〈○中略〉折ふしにつけて、からの歌ども、時に似つかはしきおいふ、又ある人、西の国なれど、甲斐歌などうたふ、かくうたふに、ふなやかたの塵もちり、そら行雲もたゞよひぬとぞいふなる、〈○中略〉元日、〈○承平五年正月〉なほ同じとまりなり、白散おあるもの、夜の間とて、舟やかたにさしはさめりければ、風に吹ならされて、海にいれて、えのまずなりぬ、