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太平記
十八
金崎城落事
気比大宮司太郎は、元来力人に勝て、水練の達者なりければ、春宮〈○後醍醐皇太子尊良〉お小舟に乗進せて、櫓かいも無れ共、綱手お己が横手綱に結付、海上三十余町お游て、蕪木の浦へぞ著進せける、