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玉露叢
十五
完文二年六月十日、江戸に於て、安宅丸(○○○)の御舟お指浮べられ、公方家綱公、御遊船也、依て諸侯の御供舟どもお漕浮べて、大幕おはしらかし、武具お飾り、御舟印等、川風に飜し、誠に見る目もいさぎよく、深川、中川新田島、佃島、川も陸も見物の貴賤さヾめき渡り、興に入計りなり、寔に今日の暮行空おおしまぬ者はなし、
天地丸(○○○)は、〈八十丁だち〉公方家召す、
大竜丸(○○○)は、〈六十丁だち〉御詰衆乗り玉ふ、
竜王丸(○○○)は、御譜代の諸大名衆乗り玉ふ、