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利根川図志

運輸
公用の船お御用船(○○○)といひ、諸侯の御手船お御船(○○)といひ、他の船お以て貢米お運送するお御雇船(○○○)といふ、〈また定御雇船あり〉この他は売船(○○)なり、運賃は米百俵の重お百匁とし、薪材おもこれに准へて、百匁に銀若干といふ、猶遠近に因て差あり、〈薪材の重は、船の喫水お以てこれお量る、〉先銚子口より関宿に上り、それより江戸に下るお利根の直船(○○)といふ、荷物は大概乾鰛魚油なり、常陸の北浦西浦より出づるは、米穀、炭、薪、材木等なり、印幡沼、衣川、上利根川、亦同じ、長沼、手賀沼は、入樋ありて船入らず、蚕養川は、大率竹筏多し、〈この筏、水路お妨ぐる事多きお以て、御用の外は、舟人、字して川盗といふ、〉船は艜(ひらた)のみ入るなり、