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古今著聞集
五/和歌
円融院大井川消遥の時、三舟にのる者ありけり、帥民部卿経信卿又この人〈○藤原公任〉におとらざりけり、白河院西河に行幸の時、詩歌管絃の三の舟おうかべて、其道の人々おわかちてのせられけるに、経信卿遅参の間、ことの外に御けしきあしかりけるに、とばかりまたれて参りけるが、三事かねたる人にて、みぎはにひざまづきて、やゝいづれの舟にてもよせ候へといはれたりける、時にとりていみじかりける、かくいはんれうに遅参せられけるとぞ、さて管絃の舟に乗て、詩歌お献ぜられたりけり、三舟に乗とはこれ也、