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土左日記
九日〈○承平五年正月〉夜ふけて、西東も見えずして、てけの事、かぢとりの心にまかせつ、〈○中略〉舟子かぢとりは、ふなうたうたひて、なにともおもへらず、そのうたふうた、
春の野にてぞ、ねおばなく、わがすゝきにて、手おきる〳〵つんだるなお、親やまぼるらん、しうとめやくふらん、かへらや、夜べの菜お、そらごとおして、おぎのりわざおして、銭ももてこず、おのれだにこず、これならずおほかれど、かゝず、