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源平盛衰記
三十三
光隆卿向木曾許附木曾院参頑事
木曾〈○義仲〉車にゆがみ乗たる形勢、おかしなどは雲許なし、〈○中略〉牛童車お門外に遣出て、後れて一楉あてたれば、飼立たる強牛の逸物也、何の滞か有べきなれば、如飛走る、木曾車の内に却様にまろぶ、〈○中略〉牛飼今は中直せんと思て、それに候、御手形に取付せ給へと教へければ、いづくお手形とも不知げに、見えける時に、其に候、方立(○○)の穴に取付せ給へと雲時、初て取付て、あはれ支度や、是は和牛小でいが支度か、又主の殿の構かとぞ問たりける、