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古今著聞集
二十/魚虫禽獣
同〈○承安〉二年、祇園会お菅博士行衡、三条堀川にて見けるに、車のうしろのかたお引てすぎける牛、とみのおのかたより、車のしたに入て、車にかけたる牛の、左の腹おつきてけり、行衡が牛、おどろきはしりければ、つきたる牛も、おなじくはしりけり、引てすぎつる童、うしろの方より、綱お取て引かへしけるほどに、車おうちかへさんとして、敷板もうしのつのにあたりて、やぶれにけり、