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太平記

六波羅攻事
千種頭中将忠顕朝臣、士卒に向て被下知けるは、此城尋常の思お成て、延々に責ば、千葉屋の寄手、彼お捨て、此後攻お仕つと覚るぞ、諸卒心お一にして、一時が間に可責落卜被下知ければ、出雲伯耆の兵共、雑車二三百両取集て、轅と轅とお結合せ、其上に家お壊て、山の如くに積挙て、櫓の下へ指寄、一方の木月お焼破けり、