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枕草子

ある人の、いみじう時にあひたる人の婿になりて、一月もはか〴〵しうもこでやみにしかば、すべていみじういひさわぎ、めのとなどやうのものは、まが〳〵しき事どもいふもあるに、其かへる年の正月に、蔵人になりぬ、〈○中略〉六月に、人の八講し給ひし所に、人々あつまりて聞くに、此蔵人になれる婿の〈○中略〉忘れにし人の車のとみのお(○○○○)に、はんひのお、引かけつばかりにて居たりしお、〈○下略〉