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増鏡
十/老の波
八月、〈○弘安二年〉御子の御ありきぞめとて、万里小路殿にわたらせ給ふ、〈○中略〉そのころけんやく行はるとかや聞えしほどにて、下すだれのみじかくなされ、小金物ぬかれける、物見車どものも、召次よりて、切などしけるおぞ、時しもや、かゝるめでたき御事のおりふしなど、いふ役人もありけるとかや、