三条家装束抄

坤

車
檳榔庇
太上天皇、摂政、関白、大臣、親王等是お用ゆ、
嘉禎三年三月廿六日、近衛前関白、〈○藤原家実〉兵仗の拝賀に、檳榔庇車に乗る、其体上檳榔庇、同じく檳榔総あり、袖の上の座連子唐花お昼く、物見半蔀あり、蘇芳の簾、同下簾、
将軍家
永享九年十月廿一日、将軍家に行幸の日なり、仍て普広院将軍、〈○足利義教〉左大臣にて、行幸以前先参内の時、檳榔毛の庇車お用ひらる、
摂家
天承元年十一月廿九日、知足院摂政、〈○藤原忠実〉兵仗お賜ふ後、初て参内、檳榔の庇お用ゆ、青き簾、同青き下簾の由見へたり、
文治二年二月朔日、月輪摂政、〈○藤原兼実〉内府〈○後徳大寺実定〉の相伴の院参、摂政庇の車、内府半蔀の車に乗る、
諸家
納言の大将、開白の許お受て、庇の車に乗ること、保延六年十二月九日、久我右大臣、〈○源雅定〉大将の直衣始に、法性寺関白〈○藤原忠通〉の許によりて、始て半蔀の車にのるよし見へたり、