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好古日録

糸葺車
或聞書の中に、車のひあじろは、古昔は、檜お以くみたる故に、ひあじろと雲、今竹にて制するは非なり、是紀図南老人の説とて記せり、余〈○藤井貞幹〉按に、河海抄曰、網代屏風、普通のあじろにて張たる屏風なり、昔は山荘などの古めかしき調度には定事也、漆骨に片面お張て、細組にて閉合たる物なり、籧(あじろ)屏風と書也又ひあじろの屏風といふ物あるか、車のひあじろは、竹お日に白くさらして、くみたる物也、其体なるものか、しかればひあじろは、檜に非ず竹なり、図南老人の説と雲、疑ふべし、