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栄花物語
八/初花
完弘二年になりぬ、〈○中略〉春日の使の少将〈○頼通〉は、中将になり給ひて、ことしの祭の使せさせ給ふ、〈○中略〉ことしは、此使のひゞきにて、帥宮、〈○敦道親王〉花山院など、わざと御車したてゝ、物お御覧じ、御さじきの前あまたわたらせ給、〈○中略〉花山院の御車は、きんの漆などいふやうに(○○○○○○○○○○○)、ぬらせ給へり(○○○○○○)、網代の御くるまお、すべてえもいはず作らせ給へり、さはかうもすべかりけりと見えたり、