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嬉遊笑覧
二下/器用
江戸には、牛に懸るも人の挽も、みな大八車お用〈○中略〉誰身の上、〈三〉一日に銭お一貫文づゝもち出て、百人にあたへ、我とすまひおとるならば、必まけよとやくそくしてとりぬる間、大八町の男おも、かたてにてとりてなげ、六尺二分の法師おも、指一つにてつきたおしける、今按るに、大八町とは、大津の八町おいふなるべし、大津は、古より雑車のある所なれば、大八車の名は、これに起れりと思はる、〈車に大八葉と雲あり、古図おみるに、車の紋に青蓮花の八葉お画けり、其名お襲ひて、大八と呼りとするもいかゞ、〉