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水蛙眼目
故宗匠雲、民部卿入道、〈○藤原為家〉為教〈○為家子〉お車の尻に乗て、さがより冷泉宿所へ出られけるに、為教卿、兄〈○為氏〉のあ↓ざなる事ども被申けり、禅門、ともかくも返事はなくて、みちにこえとり車(○○○○○)のあるお見て、
やせうしにこえ車(○○○)おぞかけてける
といふ連歌おせられけるお、為教、よりすぢりあむじけれ共、ついにつけざりけり、冷泉にて車よりおりらるゝとて、ついにえつけぬな、あにのとのならばつけてましと被申けり、