[p.0866]
大鏡
五/太政大臣兼家
帥の宮〈○敦道親王〉の、まつりのかへさ、和泉式部とあひのらせ給て、御らんぜしさまも、いとけうありきやな、御車の口のすだれ(○○○○○○○○)お、中よりきらせ給ひて、わが御方おばたかうあげさせ、式部のかたおばおろして、きぬながういださせて、紅の袴に、あかきしきしのものいみいとひろきつけて、つちとひとしうさげられたりしかば、いかにぞものみよりは、それおこそ人見るめりしか、