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源氏物語
九/葵
よき女房車おほくて、さう〴〵の人なきひまおおもひさだめて、みなさしのけさする中にあじろのすこしなれたる、したすだれのさまなど、よしばめるに、いたうひきいうて、ほのかなる袖ぐち、ものすそ、かざみなど、物の色いときよらにて、ことさらにやつれたるけはひ、しるくみゆる車、ふたつあり、