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倭訓栞
前編十一/志
しぢ 新撰字鏡、和名抄に榻およめり、車の床くびきおもたする具なり、されど榻字は車にのみ限るべきにあらず、唐韻に床也と注せり、
しぢのはしがき 昔し男の女おおもかひけて、九十九夜までかよひて車の榻に数お書たりしが、百夜に満る夜、さはる事ありとて、逢ずなりにし故事なり、俊成卿臨期変約恋の歌に、
おもひきやしゞのはしがき書つめて百夜も同じまろねせんとは