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空穂物語
楼の上下二
ないしのかみの御車、新しく調ぜさせ給へり、かんの殿のは、こ紫の糸毛に、唐鳥孔雀ぬはせ給へり、宮の御は、ふたあいに雲だすき、秋ののゝかたおうつし、草、虫、すゝき、むら鳥のかたお、いろ〳〵に縫はせ給へり、いとなまめかしうさま〴〵におかしう、しりかい(○○○○)にも唐章のかたおぬはせ給へり、下すだれも、かうの地に、薄物重ねて、小鳥、蝶などお縫ひたり、