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門室有職抄
御出之時御車事
御車は、前は以右為上臘、後は以左為上臘、前の儀は、自左進御榻、右より進御尻切也、後は右より御榻左より御簾也、御後にして御はき物お可給也、御車の開戸の役は、御前力榻の役人勤仕之、後は御簾役人勤仕之、御簾もちあげ、又以前可開、乗御了なば、おしたつべし、院御車御簾役は、殿下令勤仕給、但開戸役夕近法性寺殿〈○藤原忠通〉まで被勤仕、近来全無此儀、開戸役には、殿上人お被召也、降雨之時者、御笠役人と御足太の役人と、一方に可立也、御足太の役人は、自の笠お不用、御笠お儲たらんに入て、御榻の下に可立也、御榻役人は、従者に笠お可指也、御榻は前駈の上臘、御笠は下臘役也、御笠お指て左右に立事は心に可任、