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枕草子

人の家につき〴〵しき物
よろづの事よりも、わびしげなる車に、さうぞくわろくて物見る人、いともどかし、〈○中略〉まして祭などは見でありぬべし、〈○中略〉所もなく立かさなりたるに、よき所の御車、人給ひ(○○○)ひきつゞきて多く来るお、いづくにたゝんと見る程に、御前ども、隻おりにおりて、たてる車どもお、たゞのけにのけさせて、人給ひつゞきてたてるこそいとめでたけれ、