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宇治拾遺物語
十三
今はむかし、歌よみの元輔、くらのすけに成て、かも祭の使しけるに、一条大路わたりけるほどに、殿上人の車おほくならべたてゝ物見ける前わたるほどに、おいらかにてはわたらで、人み給にとおもひて、馬おいたくめおりければ、馬くるひておちぬ、年老たるものゝ、頭おさかさまにておちぬ、〈○中略〉日のさしたるに、頭きら〳〵として、いみじう見ぐるし、〈○中略〉車さじきのものども、わらひのゝしるに、〈○下略〉