[p.0935]
古事談
一/王道后宮
陽成院、御邪気大事御坐之時、依不坐儲君、昭宣公、〈○藤原基経〉親王達の本へ行廻りつつ見事体給に、〈○中略〉小松帝〈○光孝〉御許にまいらせ給たりければ、やぶれたる御簾の内に、縁破たる畳に御座して、本鳥二俣に取て、無傾動気御座しければ、此親王こそ帝位には即給はめとて、御輿お寄せたりければ、鳳輦〈○鳳輦、神皇正統記作鸞輿、〉にこそのらめとて、葱花には不乗給けり、