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守貞漫稿
後集三/駕車
塗輿漆塗也、古は赤黒等お交へず、素漆お以てぬる、今世は弁柄お和して溜塗とする也、塗ごし、一名直輦(○○)と雲、略物にて平日用之、今世此他お不用歟、今世幕府大臣、位官の時は、京師より摂家及び殿上人、江府に下向、大礼あり、其日の大臣も、殿上人も、ともに麁なる塗輿也、是は京師より携へず、幕府より借用と聞り、又今世大名も家格より、右の如き大礼の日、及び毎年正月初登城お見るに、塗輿お用ふ、総て板の春慶ぬり也、