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甲子夜話
九十四
当日〈○文政十年三月十八日〉津軽侯の登営には、牽馬は二匹なるが、これも鞍覆はかけず、紅と紫の厚総おぞかけたると、又轅に乗りたりと聞く、四品の人もこれに乗るか、隠倫の身は、かヽる雲上の事は今は露ほども弁へず、