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貞丈雑記
七/輿
一輿のたてむしろ(○○○○○)の事、御成次第古実に雲、御こしにめしおりの時、御供衆あつかひにて、むしろは、両もふり道わるく候へば、御こしよりたてむしろお引出して、たてられ候て、かぎに御かけ候べく候さりながら、前のすだれおろされ候はではわろく候、是はむかひ風に雨つよく入候はゞの儀にて候、さて御じやうりお、御小者参らせ候、〈此分除て見べし〉雨もよく候時、たてむしろは引出候はぬ物にて候、立むしろは、よこ雨の御用までにて候也雲々、たてむしろは、畳の表にへりお取て、輿に入置て、風雨の吹時引出して、簾の外よりかくる成べし、