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宗五大草紙

人の召仕れ候仁心得らるべき事
一輿寄の妻戸のうはがさね下がさね、こしのよる時さた候はず候、たゞ武家には、こしの左おあがりと心得候、公方様御剣の役人も、御妻戸の左に祗候也、又私ざまにては、輿ぞへの役人両人あり、妻戸のうはき打たる方、輿の左あがり、右はしたで、女房衆はめして後、こしおそと御たゝき候、其時えんより両人かきおろし候へば、こしかき請取候、公方様には、御こしかき計あつかひ申候、