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庭訓往来扶翼

夫力者 貞丈雲、〈○中略〉力者とは古代は力者とて、剃髪したる中間のやうなるものあり、出張頭巾おかぶり、白布の狩衣袴に脚絆して、馬の口にもつき、馬びさくなどお持、長刀などお持ち、輿などおも舁く者なり、短刀お腰にさす事、俗人の如し、剃髪の人夫也、後三年合戦の絵に、義家凱陣して帰路の行粧お画たるに、力者両人、馬の口の左右に立たる体見たり、紺の出張頭巾おかぶりたり、一人は柄長びさくお持たり、古門跡方にも、力者に輿お舁せられし事、旧記に見たり、室町将軍も、式正の時は、力者に輿お舁せられし由、古記に見たり、