[p.0982]
塩尻

駕籠の始 今の世貴人より下つかた、駕籠とて乗り侍るは、根本籃輿より起れり、あおだ〈或はあんだともいふ〉は、もと覆なき物なり、後はむしろにて、かりに日おほひなんどせしより、さま〴〵の製出来たり、初は卑凡の者、道路のつかれおふせがんとて乗りてありきしお、今は大人といへどもこれにめす、但今の製の如きは、つりごしより変じて、籃輿はとりまじへしと見ゆ、されば乗物とかごと、今各別のやうになれり、