[p.1008][p.1009]
貞丈雑記
九/書札
一下馬札の始詳ならず、〈○中略〉右〈○吾妻鏡文、在下、〉下馬橋と雲は、其所にて下馬する故の名なるべし、其所に下馬札お立られし歟如何知れず、下馬札立る事は、退凡下乗の卒都婆にならひて立始ける事歟、是もたしかに定めがたし、〈○中略〉下馬札は、もし此退凡下乗の卒都婆お学びて立始めたる歟、いつ頃より始りたる歟詳ならず、古より禁裏の御門外に下馬札立る事無れば、国史旧記に下馬札の事みえず、青蓮院殿に世々下馬札の筆法お伝へられしとかや、みだりに書ば其所にわざわひありと雲伝たる事も有にや、かの筆法は、いつ頃より何方に立し古法お伝られしやしらず、