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守貞漫稿
後集三/駕車
山駕籠(○○○) 箱根山にて専用のかご也、底円形故に自ら広く山路お乗て脚お痛めず、屋根あじろ、丸桐材の棒、或は丸竹もあり、屋根あじろ、此かご江戸より駿州路の間に用之、京坂は元より東海道も西は不用之、皆宿かご也、
宿駕籠(○○○) 宿音にてしゆくかごと雲、俗に駅お宿と雲、故に駅路の駕と雲心也、自駕お携ざる旅人は用之、俗に雲助と雲、駅家の雇夫おして舁之しむ、故に雲かごとも雲、中略也、
又御用人馬賃銭帳お以て、問屋場より夫お役す、旅宿には特に麁製お用ふ、是お問屋かご(○○○○)と雲、人夫の雇銭のみにて、かごの料お取らず、若駕料二十四文ばかりお与ふれば、聊か精製なるお用ふ、但宿かご板底もあれども、自ら問屋かごに勝れり、